老人と杖とジャンビア・ダンス
2008.01.31-02.01
サナア近郊の2箇所の観光名所"シバームとコーカバン"、"ワディ・ダハールとロックパレス"をそれぞれ半日観光しました。
さっちゃん、Jun&しかちゃん、ともこさん、私達の6人でGO!
ミニバスを貸し切ったりしてワイワイと楽しく観光してきました。

●シバームとコーカバン
ミニバススタンドでミニバスのおやじと交渉。 片道約60kmを往復2000YR(≒1200円)でOK.。 6人居たので1人350YR(≒200円)、激安です。
イエメンは、すごく物価が安くて快適♪
ミニバスと言っても、中古のボロボロのワゴン車。
町中、どこでも走っており、イエメン人の足なのです。
サイドドアは開きっぱなしで閉まりませんでした。
1つの部族の村が岩山の下(シバーム村)と上(コーカバン村)にある場所で、その岩山に登ってきました。
標高が高く、息切れ切れで登ること約1時間、上の村からの景色はGood。
見晴らしが良いこの場所で、敵部族の見張りをしてたんですね、きっと。
すごくオススメではないけれど、半日観光には丁度良い場所なのでした。

上:麓の村をばっちり見張ることが出来ます。
下:遥か向こうに同じような岩山の要塞が見えました。
周りはずっと荒野が続いています。

●ワディ・ダハールとロック・パレス
毎週金曜に"ジャンビア・ダンス"と呼ばれるイエメン人の"ダンスの集い"があると聞き、金曜早朝から行って来ました。
ダンスはナイフ同士の戦いを踊りに見立てたものですが、誰でも参加OKなので、観光客でも一緒に混じって適当に踊れちゃいます。
子供も参加して踊ってました。
一人前の格好をしてナイフを持って可愛い。
後に写っている建物がロックパレスの下部分。
昔と大して変わらぬ格好の男達が次々に参加して皆で輪になって賑やかに踊る姿は、きっと何百年も前の風景と変わらぬもので、そしてこれからもずっと続いていく事でしょう。

そんな素敵なジャンビア・ダンスに"杖をついた老人"が混じりだし、始めはヨロヨロしていて「大丈夫かなぁ……」と見ていたら、途中からは杖を放りだし踊り狂い飛び跳ねてました。
杖、必要ないじゃん……。
一番右がそのおじいちゃん。
このときは、まだ杖を手に持ってます。
この後、杖を放り出し、踊り狂うのでした。
おじいちゃんが杖を捨て元気に飛び跳ねちゃう程、彼らを熱くさせる"ジャンビアダンス"。
リズムに合わせイエメン式ナイフ(ジャンビア)を振り回しながら踊りあう姿は"カッコイイ"というよりも"やや滑稽"だけど、昔から続くイエメンの男達の楽しみの一つなんだと実感。

ダンスの後はロックパレス(昔の王様の屋敷)をササッと見学して終了。
金曜日にサナアに居るならロックパレスに行っといで!
これまた半日観光で十分な場所ですが、楽しいダンスとにこやかな人々が待っていますよー!
おじいさん2人による戦いを上から激写。
もう杖は持っていません。(笑)
どちらかが相手のスカーフを奪ってダンスは終了します。



幸せの国の人々
2008.01.30-02.01
エジプトから飛行機でイエメンの首都サナアへ。
"幸せの国"といわれるイエメンにやってきました!

多くの旅行者がオススメするこの国は「中東の中で一番アラビアンな感じ」「人々は優しく、気持ちいい」「誰もボラない」らしく期待度120%での入国です。
入国手続きが終わり、空港を出るとタクシーが声を掛けてきます。
「町まで10ドル!」
いきなりボッてくるじゃん!?
ま、メーターの無いタクシーは世界中どこも同じなので仕方ない……。

気を取り直し、空港からは乗り合いのワゴンを乗り継いでサナアの中心地まで移動です。

空港を出ると直ぐに2台のワゴンが道路脇で「ハサバ、ハサバ!(最初の目的地)」と呼び込みしています。
子供が呼び込みしてたワゴンに乗車。
黙ってお金を渡すと、聞いていた話通り、ちゃんとおつりが帰ってきます。
「おー、正直だっ!」と感動。
こんなことで感動するのもどうなんだと思うけれど、インド、エジプトと旅行してきているので移動でまともにお釣りが帰ってくるのが奇跡のようです。
※実際は、このミニバスがそうだっただけで、どこも旅行者ズレしてきており、ボラれたり騙されたりします。
人が正直でボラない国というのは昔の話なのでした。
※しかし、他の国に比べ"良い人"が圧倒的に多いのは確かです。

途中からオッチャン数人が乗り込んできてきました。
白いシャツとスカートにジャケットを羽織り、お腹にはジャンビア(アラビアン調なデカいナイフ)をしっかり身に付け、そして手にはカート(覚醒作用のある葉っぱ。大量に口に入れて数時間モグモグします。イエメンでは合法。)が大量に入ったビニール袋を持っています。
サナアのイエメン人の基本スタイル:
白の上下にジャケット着用し、お腹にジャンビアナイフを装備。
首都サナア以外では、何故かこの格好の人が少ない。
地方都市は、洋服の人が多い。
「おー、韓国人か?日本人か?」「日本人だよ」「Good!ようこそイエメンへ!」
皆、ニコニコして声を掛けてくれる。
そしていきなりカートを見せて、「これはカートだ、知ってるか? 食うか?」

イエメンではいつでもどこでもカートだらけ。
午後は男の誰もがカートに夢中で仕事は適当。
"カートタイム"と午後の数時間は店を閉める所も多数。
カートを貪っている時は、こちらの話を適当にしか聞きません。
右のほっぺた一杯にカートを頬張り、口の中は緑一色。
緑の口のこぶとり爺さんって感じで見た目は普通じゃありません。

しかし、大事な話こそカートを噛みながら(=少しラリリながら)皆で談話して決めるのだとか。
すごい国だ、イエメン。

そんな呑気なカート人生だからか、人々はとてもノンビリで優しく、道を聞けば、目的地近くまで一緒に歩いてくれたり、食堂へ行って食べてるご飯を見てれば「これを一緒に食え」と別けてくれたり。
そして皆ニコニコ。
もちろん誰もお金を要求したりしません。

うーん、幸せの国ってこういうことなのね。
日本にカートは無いけれど、"日本の田舎"の心地良さに近いものがあるのですね。

●旅行手続きが面倒なイエメン
イエメンでは首都サナア以外を旅行する場合、旅行許可書が必要となります。
ツーリストポリスに行けば無料で発行してくれるのですが、その場所が分かりにくくて迷いまくり。
ツーリストポリスの場所は現地人もあまり知らず聞いても誰も分かりません。
情報ノートをもとに建物があるらしい付近を探すこと30分程、やっと見つかりました。

夕方遅くだったので、急いで中へ入ると……。
なんと!警察官全員でカートをやってダラダラになってます。
警察も兵隊も職務中でも皆カート。
これって、職務中にお酒飲んでいるようなものだと思うんですが……。
むむむむ。

床に寝そべってダラダラしている警官達に「旅行の許可証ください」というと寝そべったまま、すごく面倒くさそうに手続き。
あーこれだからカートってダメじゃん……。

机の上の用紙を指して「行きたい場所と予定を全て書け」と言ってきます。
回りたい場所全てと適当な予定とを書くと滞在希望場所に数箇所NGが入りました。
一箇所は"マーリブ"という場所、もう一箇所は"シャハラ"という場所です。
マーリブは完全に訪問がNGで、シャハラは個人ではダメだけどツアーならOKとの事。
個人はダメで、どうしてツアーならOKなの?なんだか胡散臭いなぁ……と思っていたら、ツアーには重武装の兵隊が7人も付くとの事。
兵隊が付かないとツアーしちゃダメって、どんなに物騒なんだか。
実際に行ったシャハラツアーの護衛車:
荷台の銃はなんですか?
そして全員、機関銃持ってました。
マジメに物騒なんですね……。
またサユーンという場所へ陸路で行くのもオススメしないと言ってきます。
聞けば、1週間前に西洋人がアルカイダに銃撃されて死亡したとのこと。
うーん、幸せの国っていうわりには"イスラム原理主義の過激派"が沢山いるようで、旅行者に見えない部分は怖いんですね……。

西洋人が銃撃されたばかりで旅行許可も厳しくなっており、行きたい場所の2箇所がNG。
「なんだよ、聞いてないよー!」とガッカリして許可証を書いて貰いました。

その中で終始カートを頬張り、一番ダラダラしてた警官の1人が、後日、ツアーでお世話になるMr.アミン(個人でツアー手配をしている)でした。
まさかこんなダラダラな人間が"旅行者にそこそこ評判良い人"だったと後で知ってビックリ。
ひろみん と Mr.アミン:
みんみん同士で意気投合。
Mr.アミンは、カートをやると非常にだらしなくなるのが欠点。
ツアーはMr.アミンも一緒で非常に楽しく良かったです。
カートがあればこそのイエメンですが、カートが無ければもっと良さそうなのにね……。

●絶景!世界遺産の旧市街
首都サナアの旧市街は世界遺産に認定されています。
世界最古の高層建築群(6〜9階建て)だそうで、その旧市街の町並みが旧市街にあるホテルの屋上カフェから眺められるということで行ってきました。
建物の屋上に水タンクやパラボラアンテナが多数あるのはさておき、眺めた瞬間「うーーーん!すごい景色だ。」と唸りました。
説明よりも画像にて。
Hotel の屋上カフェにて:
夕方、夕日に照らされてバラ色に染まる旧市街は絶景。
"千と千尋"の"顔なし"のような ひろみん
屋上カフェの覗き窓から撮影:
高い建物の間に迷路のような路地。

旧市街で黒装束の"ひろみん"。
全身真っ黒なイスラムスタイルで散策しました。
下: お茶を飲むときに顔の布をめくりつつ飲む姿はちょっとマヌケ(笑)

独断と偏見による世界遺産評価: ☆☆☆☆  (※☆5つが最高)
= 首都サナアの旧市街 =
外観は昔のままの高層建築の間の細い路地にはアラビアンな風貌の人々が沢山いて、まるでタイムスリップしたよう。
そして人々は皆ニコニコして迎えてくれる。
市場もあってその一角はとても賑やか。
上から眺めるだけでなく、路地歩きするのも楽しい場所でした。

人々がまだ素朴な今のうちに来るのがオススメですよー!
サナア/イエメン
宿泊 : MANAHA SULTAN HOTEL(タハリール広場から徒歩2分程。広場から軍事博物館の前の道をまっすぐ200m程。道路左側に小さな日本語のに看板あり。) ドミ:700YR、W:1400YR  TV付き、トイレ・シャワー共同
★★★★★★☆☆☆☆ 60点  イエメン情報満載の情報ノートあり。ボロい安宿でトイレが異常に臭い(イエメン人は何故かトイレを流さない為)。ダニが居るベッドありで要注意。 私達は都合9泊しましたが全て屋上の部屋でした。屋上の部屋はトイレが下階にしかなく、使い勝手は悪いものの臭いが全くしなかったのでそこそこ快適でした。
物価: 水500ml 40YR(大体どこもこの値段)、水2L 60YR(安い店で)、高級トイレットペーパー2ロール 110YR、マスクメロン 100〜150YR、生ジュース50YR、現地定食100〜250YR程度(チキンなどの肉はもっと高い)
お勧め: 1.旧市街のホテルの屋上カフェから見る町並みは絶景。さすがは世界遺産!
2.町なかの生ジュール屋の生ジュース。 どれでも大体 50YR(レモンジュースは20YR)。生メロンがオススメ!
3.ぐるぐるチキン、ウマウマ!一匹まるごと 700YR、半分 350YR程。