移動できない!? ラサからの脱出
2007.08.31
『お寺も食事も満喫したし、そろそろネパールに移動しますか!』と長距離バス発着場へバスチケットを買いに行くと……。
外国人にはどこ行きのバスチケットも売りません。
旅行会社で手配して旅行してください。
なんと、外国人にはチケットを売らないと張り紙をしているじゃないですか!
チケット売り場のクソババァ、いや、オバ様は張り紙を指差してあとは無視。
この対応、かなりムカつきます。

ネパールへの国境の町:ダムまでの移動は、旅行会社手配だとローカルバスの倍以上するので、何とかローカルバスで行きたい所です。
※ローカルバス:261元(\4,300)
※旅行会社手配バス:600元(\1万)以上

この"外国人にチケット売らない"というのは、間違いなく"エベレストベースキャンプでのチベット解放デモ"の影響ですが、私達は阿里(アリ)で正式に『外国人旅行証』を取得(コイタビ。便り063: 公安に行ってきました [阿里(アリ)]参照)しているのでローカルバスだって問題なく乗れるはず。
過去に大金(タルチェン)でもチケットを買えませんでしたが、これでは何のための許可証なんだか分かりません。
『外国人旅行証』を見せても、「フン!」と張り紙を指差すだけ。

全く話にならないので、仕方なく一旦バス切符売り場を後にして、今度は『外国人入出境管理局』へと向かいました。

入出境管理局で「切符を売ってくれない」と文句を言うと、担当者は「許可証もあるし問題なく乗れる。なぜバスチケットを売らないのか理解できない。」と非常にナイスな発言をしてくれます。
「じゃあ、それを紙に一文書いてサイン頂戴」と頼むと、「それは無理。私達は、どこへ外人が行けるかを管理するだけで、バス会社は管理できない」といって何もしてくれません。
あれこれ話して「チケット売り場から管理局に電話させて担当者が電話口で説明する」って事で何とか話をつけ終了。
チケット売り場から電話をしてくれるかはかなり疑問ではあったものの、他に方法も無く、再度、バス発着場へ。

窓口のオバ様は予想通りに「知らない。関係ない。公安に電話はしない。」と何を説明しても無視でチケットも購入不能。
「とにかく電話して」と30分程粘りましたが、向こうはずっと無視。
窓口の向こうで暇そうに同僚と世間話をしています。
もうメチャクチャ腹が立ちましたが怒鳴っても仕方が無いので、最後に「あなた達は心がない最低の人間だ。ありがとう。」と負け犬の遠吠えをして購入断念。
オバ様達は相変わらず「フン!」としていたので切なくなりました……。

●ここが変だよ、中国!
他の旅行者も皆同じくチケットを売ってもらえず、
 1. 中国人に頼んで買って貰った人
 2. バスのドライバーに直接交渉(値段2倍)して乗せてもらった人
これ以外は皆、旅行会社手配の車での移動となってました。

バスに乗れさえすれば、後は全く問題なし(検問でも何もなし)なので、"チケットを売らない"だけという中途半端な対応はどうなのか?
このいい加減具合が中国らしいけれど、何だかなぁ……。

というわけで、ローカルバスでの移動は断念して、大人しく旅行会社のミニバスでラサを脱出したのでした。

今回は訪問したタイミング(チベット解放デモの直ぐ後)が悪かったようで、ああ、無念。
個人旅行でチベットを満喫するには、チベット解放デモの直ぐ後は避けた方が無難ですよー。


幸せのチベット一大観光地
2007.08.25-31
長いバス移動を経て、チベットの中心地、拉薩(ラサ)にやってきました。

さすがはチベット一の都市です。
何でも売ってるし、電気は24時間だし、宿にシャワーあるし、ご飯は和洋中何でもあるし、快適快適。

西チベット旅行でまともな食事に飢えていた私達は、連日あれこれと観光そっちのけでご飯屋さん巡りをしたのでした。
その中でも特に気に入ったのが、韓国料理屋の"阿里郎悦焼城(アリラン焼肉シティー)"。
一日おきに通った韓国焼肉店。
西チベットで疲れた体を元気にしてくれました。
幸せの韓国焼き肉。
海苔巻き、焼肉、冷麺、自家製キムチ、どれもスゴク美味しくて1日おきに計3回も夕食に通う程。
中国国際放送局からインタビューされたのも(けんぽこ日記 参照)、このお店でした。

そして、夜9時以降に半額になるスノーランドレストランのケーキたち。
夕食の後は、ほぼ毎日この店に買いに行き、宿で紅茶と一緒に食す幸せ♪(貧乏臭い……)
全種類食べてみましたが"アップルパイ"が一番美味しかったです。
チーズケーキが獣臭かった(ヤクのチーズ??)のはご愛嬌。
幸せのアップルパイ。
この画像では、形が崩れてますが美味しかった!
西チベットで痩せた体にシッカリ脂肪を取り戻せたラサなのです。

●意外とショボイよ、"ポタラ宮"
さて、ラサの観光といえば一番は"ポタラ宮"
世界遺産でもあります。
しかーし、入場するために前日に整理券を入手する必要があったり、入場料高い(100元)くせに、内部はあまり見れなかったりと、なんかイマイチ。
部屋の数は999あるらしいですが、見学できるのは20箇所のみ。
むぅ……。

独断と偏見による世界遺産評価: ☆☆☆  (※☆5つが最高)
= ポタラ宮 =
大きな大きなチベット王宮ですが、内部は少しだけしか見学できません。
写真は一切禁止だし、見学もあっという間で、前日から整理券を手に入れて苦労して行く程ではありませんでした。
もっと沢山の部屋を公開してくれれば、星4つくらいにはなりそうな?
過度の期待をせずに行くのが正解。


そして、ポタラ宮の世界遺産認定数年後に追加認定されたダライラマの夏の離宮"ノルブリンカ"。
生き仏のダライラマ14世は、ここからインドへ亡命したらしいです。
ダライラマ14世が実際に過ごしていたということで価値があるのでしょう、多分。
内部に小さな動物園がありました。
怪しい看板発見! 観覧車なんてないのに描いてあるし…。
これが世界遺産の内部にあるのは何とも中国らしいです。

独断と偏見による世界遺産評価: ☆☆☆  (※☆5つが最高)
= ノルブリンカ =
スゴイ!というものは一切ありません。
ダライ・ラマ14世が生活していた建物が見れます。
お散歩を楽しむ気分で!


●お寺、お寺、お寺
世界遺産はさておき、ラサにはスゴイ沢山のお寺(チベット仏教)があります。
どれも小さなお寺ばかり(いくつか大きなお寺あり)ですが、意外と楽しめました。
どのお寺も似たような感じですが、建物内部に描かれた宗教画はそれぞれのお寺で特徴があって面白い。
私達のお薦めは"倉姑寺"という尼寺で、沢山の花々がキレイに飾られており非常に心地よし。
ユルユルとした時間が流れる境内のお茶館。
※お寺の中は入場料を取られるのですが、茶館までは無料
ミルクティー:ハーフポット 2.5元(40円)、ショートポット 1元(1.6円)。
画像はハーフポット。味はイチイチ(ミルクが獣臭い)。
量があり飲みきれませんでした。
中に入るとすぐ横に茶館があり、イスに座ってノンビリとチャイやバター茶を楽しめました。
マッタリできて気持ち良い時間を過ごしました。

●チベタンと共に潜り込め
数ある寺の中でもかなり面白かったのが"ジョカン"。
チベット仏教で最高のお寺で、中も外も参拝するチベタンだらけ。
ラサもこのお寺を中心に町が形成されているらしいです。
この"ジョカン"の周りを時計回りにコルラ(巡礼)するチベタン、一緒にコルラする観光客、観光客を狙った土産物屋、これらがごちゃまぜになってジョカンはいつもにぎわっています。
ジョカン:
正面の広場から。
このジョカン、外国人は観光するのに80元必要なのですが、朝一番の入場のときにチベタンと一緒にドドドーっと中に流れ込めば入場料を取られないらしいとの事で調査してきました。

ひろみんは寝てて起きなかったので"けんぽこ"1人で行くことに。
帽子をかぶり、少しジミな格好をして朝8時前にチベタンに混じり門前に並ぶと、なんと目の前に"さっちゃん"発見!!
同じ事を考えていたようで二人で朝の無料潜り込みを開始です。
8時20分過ぎに門が開いて、チベタンとモミクチャになりつつ入場しました。
チベタン、ドドドーッ!
皆、我先に進んでいきます。
寺の中をしばらく進み"入場成功"!!
と思った瞬間、係官に「門票(入場券のこと)、門票!」と言われ、腕をつかまれ追い出されました。
さっちゃんも同時につかまりOUT。むぅ。
結構奥まで進まないと捕まってしまいます。
しかしチベタンの列はまだまだ続いていたので、懲りずに再チャレンジ。
係官が真横に来たりしましたが、今度は何も言われずに入場できました♪

ジョカン内を散策していると、赤い派手なパーカーとリュックを背負った"金髪"の西洋人女性発見。
あの見た目で係官に見つからなかったのは正に奇跡!!
というか、係官のチェックは結構いい加減なんですね、きっと。
注意されても何度か再トライすれば入れること間違いなしです。

ジョカンの中は仏像だらけで"チベット仏教の仏様大集合"。
内部はバターのロウソクを灯しているため、バター臭い。
油が飛散しているようで眼鏡のレンズが油でベトベトになりました。
アッカンベーしている仏様や、蛙の顔の仏様などもあり、興味深く観光できました。
機会があれば朝の潜入を是非!
ジョカンの屋上から前の広場を写す。
お香の煙モクモクでした。

食べてはお寺をブラブラ観光のラサなのでした。


西チベットの移動は最悪っ!
2007.08.21-24
カイラス山の巡礼を終えた後、カイラスの麓町:大金(タルチェン)からラサへ移動が大変で、都合4日掛かりました。

8月5日に西洋人らがエベレストベースキャンプで"チベット解放デモ"をしたため、大金(タルチェン)からラサ方面へのローカルバスは外国人の搭乗禁止、またチベット人運転手が外国人ヒッチハイカーを車に乗せることも禁止(軍人or中国人運転手はOKらしい)となり、ラサ方向に向かう手段が全然無く、泣く泣くいったん阿里(アリ)へ戻り、その翌日、ラサ行きのバス(北周りの阿里(アリ)からラサ行きは外国人OK)でラサへと向かいました。

●走行BGMはお経
阿里(アリ)への戻り道は、運良く非常に安く(1人150元)でランクルをチャーター出来て車内は広々で快適だったのですが、走行中ずっとお経のBGM。
このお経は生撮りのようで、お経の途中で僧侶の咳の音が入ったりしてて異常にリアル。
あんなの聞いていたら眠っちゃいそうなのに、信心深いチベタンはお経をかけつつバリバリ飛ばすのでした。

●バス運転手達は詐欺師同然
さて、阿里(アリ)からラサ行きのバスです。
普通は"寝台車"に乗って行くのですが、阿里(アリ)で偶然にも"門士から大金に向かうときに乗ったバス(8月18日)の運転手"と出会い、これまた偶然にも彼のバスが『今度はラサに行く』ということで"いい座席"を指定して(寝台ではなく座席車)、1人700元(寝台車は831元)で乗ることにしました。
これが大失敗の元とは、この時に分かるはずもなく……。
詐欺まがいの運転手。
阿里(アリ)で話をしなければ良かったと大後悔。

驚いたのが、ルートはなんと南周り!(非解放地区を通るルートで、8月初旬から"外国人搭乗禁止"になったルート)
※"寝台車"は"北周り"で解放地区のみを通ります。こちらは問題なし。

南周りということは、昨日6時間掛けて大金(タルチェン)から阿里(アリ)に戻ったのに、今度は7時間掛けてまた大金(タルチェン)に逆戻り。
ああ、なんてこった……。

巡礼後、ラサ行きの車を探した時に「大金(タルチェン)からラサ行きの車は外国人NG」と言われ、バスもジープもことごとく断られたのに、今回のバスは外国人OKなの?
スゲー適当でワケが分かりません。
大金(タルチェン)のバス手配の元締めの『天地餐館』の女将は、嘘つき&強欲。
一見、人が良いが、その裏の腹黒さに注意!!
バス待ちでその前にたむろするチベタン達。
で、バスは大金(タルチェン)到着。
2時間程停車後(乗客は車内で座ったまま)、いきなり「ラサ行きバスはあっちになった」と言われ、乗客全員で別バスの席の取り合いに。
こういう時の中国・チベット人は最悪で、自分だけが良ければいい精神出しまくりで押し合い圧し合いでメチャクチャです。

結局、私達は最後部座席のハズレ席。
揺れがヒドイのは仕方がないとして、窓が閉まらないオマケ付き。
ホコリは入るし寒いし最悪です。
「高い金払って良い席を指定していたのに話が違う」と思うも、このバスの運転手は違う人達で、今までの運転手はどこかに消えました。
むむむ、ヤラレタ!
そしてココから不幸のオンパレード。
バスは夜通しで移動するも、ヒドイ揺れ&凍てつく風に吹かれる寒さで一睡も出来ず。
翌日の日中も全然眠れず&ずっと揺れているので気持ちも悪い。
途中の川で休憩。
チベタンどもは、顔を洗ったり、頭を洗ったりと大忙し。
"けんぽこ"は『上流から毒でも流してやりたい気分』でした。
そして、その日の深夜に着いたはボロボロの宿。
今回の旅で一番汚い宿で、部屋と布団がカビだらけ
2泊もしたら必ず病気になりそうな宿でしたが、あまりの疲労の為にぐっすり睡眠……二度とあんな宿に泊まりたくない。

その翌日、ランクルの事故に鉢合わせ足止め、更にガケでトラックの横転に鉢合わせ、これまた足止め。
ランクルは、よそ見運転ぽい。
トラックの横転目撃は、ちょっと感激してたりして♪
バスはラサに行くと思いきや、"シガツェ"という町で運転終了し、乗客全員がバスから降ろされました。
当然、乗客たちが運転手に文句をいうも『オレは知らない。前の運転手とは関係ない。』との一点張り。
結局、また別のバスに乗り換え、更にお金を払い(50元)、そこから5時間ちょっと移動してやっとラサに到着したのでした。

アリからラサまで、合計56時間30分、苦痛苦痛の大移動となったのでした。

運転手なんて無視して"寝台バス"にしておけば良かったと大後悔。
料金も大して変わらないし(2000円程度)、きっと楽に移動できたでしょう。

「バスの運転手、全員死ね!」と心から思ったラサへの移動なのでした。

『阿里(アリ)からラサに移動するには寝台バス』、これ鉄則です。
もしもローカルバスで行かれる方はご注意あれ!

今回は『イライラ。便り』なのでした。